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高齢犬保護

2021/10/28

「高齢の飼い主が亡くなり、引き取ったらしい人が飼っている大型犬が、餌も水もらえず餓死しそうになっている。」と連絡があり、急遽その犬を見に行きました。

最初は、1回様子を見て、その後に引き取ってこようと考えていたのですが、依頼してきた方が、すぐにでも保護しないと死んじゃうのではないかと、かなり心配されていたので、1回目に訪問した際に保護するならしようと覚悟を決めつつ現地に向かいました。

飼い主さんと直接話をしたところ、子犬の時からその家で飼われていた犬で、狂犬病の予防接種など最低限の医療は行っていることがわかりました。しかし、その犬の後ろ足はフラフラ(筋肉がついていない)で、背骨が浮き出ている体型から、お散歩や食事は足りていない様子が見て取れました。
飼い主さん同意のもと引き取ってきました。

年齢は約10歳、後ろ足がかなり弱っていることやガリガリだったことから、引き取ってきたその日に血液検査とフィラリア検査を受けたところ、意外にもフィラリア陰性、血液検査の結果も貧血はなく正常値から外れている項目もありましたが、大きな問題はありませんでした(引き取ってから1週間後に再度血液検査したところ、全ての値が正常値になっていました。)。

初めて会った時の印象は、「後ろ足が随分フラフラだな」、でしたが、その他にも気づくことが出てきました。
例えば、排便時にしっぽが完全に下がって、地面についている(便にさわってしまわないかヒヤヒヤするくらいぺったり下がっていました)。おしっこの時に足を上げる時とあげない時がある。水を飲む時に、水面のちょっと上でぺろぺろしていて、なかなか水が飲めない。ドライフードが口からポロポロ落ちてきてしまう、飼い主から預かったフードは全然見向きもしませんでした。朝は食欲があまりないが、夜は食べる。おしっこのキレが悪い、無意識にポタポタたれていることがある。

引き取ってから6日目の火曜日
 ・8時:いつもよりも後ろ足がフラフラしており、その日は前足にも力が入らない様子がみれた。
 ・11時:車に乗りこの子を支援してくださることになった保護団体さんの事務所に移動。自力で階段や段差をのぼり事務所に入る。
 ・12時過ぎ:この時はまだ自力で動いていた。お散歩に連れ出したところ階段はつらそうだったので抱っこで室内に連れ帰る。その場にいた獣医師に相談したところ、環境が変わり動く機会が増えて腰が痛くなっているのかもしれないとのこと。診察環境がなかったので詳しいことは確認できず。痛み止めがあるなら、それを飲ませて様子をみるように言われる。
 ・13時半頃:入っていたサークル内で少量だけど尿もれ。ポタポタ垂らしている量より多かった。サークルから出てくるように促しても自力で立てなくなっていた。
 ・14時頃:後ろ足が伸び切ってしまい座れない。失禁。前足にも力が入らなくなる。血液検査、問題なし。ワクチン6種接種。
 ・15時:帰宅。立てない、前足もだらんとし、頭も持ち上げようとしない。犬用ベッドの上で4肢投げ出すようにして寝る。
 ・20時頃:介助しながら外で排尿・排便。水、食べ物は一切受け付けない。
 ・夜中:寝返りを自力でできないので介助。ペロペロしていたので、注射器で口の中に水を含ませ飲ませる。
 ・翌日11時:獣医に着いてトランクを開けたら自力で座っていた!!抱っこして地面に降ろしたところ、後ろ足はフラフラしていたが自力歩行。

症状が出た翌日に診察に行った獣医さんにはウォブラー症候群などの首の異常か、脳に異常があるのかもしれないと言われ、痛み止めをもらって帰宅。(首や脳の異常の場合、症状は出たり、出なかったりするとのこと)。
帰宅後すぐに薬を飲ませ、夕方まで爆睡。
夜は短いお散歩に行き、ご飯も食べて水も飲んだ。
2日目、まだ時折ふらつくが、保護して以来初めてみるほどの食欲を見せてくれ、朝昼夜食べた。お散歩にも行きたがり、朝と夜に散歩。夜の散歩で排便した時は、しっぽは地面に付くことなく上げていた!

この犬の元かかりつけ獣医に問い合わせたところ、4歳頃に一度歩けなくなったことがあったと判明。この時は、ステロイド、痛み止めとビタミン剤で改善したとのこと。

高齢や長期に渡る運動不足だけが理由ではない何かがありそうですが、性格はとてもよく、少しなでてあげるとうっとりするような、無邪気なおじいちゃん。
我が家のビーグル犬とほぼ同じ年なので、なんとなく比べてしまいます。シニアでもまだまだ元気で、いろいろ楽しみたい年齢。

体を動かさないままでいることは良くないそうなので、適度な運動は継続しつつ、ご飯をしっかり食べてもらいつつ、体調を整えてペースを作っていきたいと思います。

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