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物語:またね!

2017/08/06

目を開けて周りを見渡したら、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、ここちゃんもななちゃんもいた。

ここちゃんとななちゃんが僕をなでてくれていた。

今日は家族全員揃ったね。

ここちゃんとななちゃんと遊びたくて体を起こしたつもりだったけど、僕は寝たままだった。

お父さんとお母さんの顔をもっと見たくて、頭を動かしたつもりだったけど、視界は動かなかった。

おにいちゃんとおねえちゃんに挨拶したくて、しっぽを振ったつもりだったけど、しっぽがないみたいに静かだった。

眠くなってきたような、体から力が去って行くような、ふわっとした感じがして、心はとっても温かい。

僕の家族が温かい。

お母さんが「ありがとう。またね。」って僕にいった。

僕の体はもう動かなかったし、吠えてお返事することもできなかったけれど、「うん。またね!」って僕はかえした。


 

みんな

一時預かりして譲渡した犬が病気で亡くなりました。

新しい生活を始めてからまだ1年たっていませんでした。

保護犬は病気もちが多い。という偏見?意見?を持っている人がいます。

確かに、フィラリア陽性の子や、体の表面に肉腫や腫瘍がある子、内臓に腫瘍を隠し持っている子、病気がある保護犬は沢山見かけます。表面的には元気で問題がないように見えても、MRI等の徹底的な検査をしないと見つからないレベルの病気の種を隠し持っている子もいます。

そして、里親さんのもとで病気と上手につきあって長生きする子もいれば、病気の種が悪さを始め亡くなる子もいます。保健所で亡くなる子も、保護した直後に亡くなった子もいます。

「病気を持った保護犬」と分類される前はその子は、「病気になった飼い犬」だった場合があります。

「病気になった飼い犬」は、血統書付でペットショップまたはブリーダーさんから、ご近所さんの犬が子犬を産んで譲り受けた等、いろいろなところからきていることでしょう。

「病気になった飼い犬」が捨てられると、「病気を持った保護犬」になります。

保護犬は病気もちが多い。という偏見?意見?は確かにそうなのかもしれません。

ただ、もう少し詳しく書くと

「世の中には飼っていた犬が病気になったことで捨てる人がいて、捨てられる犬の受け皿になっている保健所に病気を放置されたまま集まってくるから、保護犬には病気もちがいる」ということ。

そういうことなんだな、と。

命を引き受ける時は、病気になる可能性も覚悟して引き受ける。私がご縁をいただいた里親さんたちは皆さんその覚悟をしている方たちだった。

もっと多くの人がこの覚悟をもってくれたらいいのに。と思ったのでした。

 

 

 

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